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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

高校1年の冬頃、いつもと変わらず則ちゃんと手を繋いで帰っていた。
いつもと変わらない温かさに心満たされ、たわいもない話をしながら歩く。
いつも以上に饒舌にしゃべる私の話を則ちゃんはうなずきながら聞いているだけだった。

「でさっ!宮下くんが野々埼さんの事が好きだったみていでね…って則ちゃん聞いてる?」

いつもは色々と話しながら帰る則ちゃんは口数が少なくて変な感じがした。

「あっ…うん…聞いてる」

「そう??でねっ。野々埼さんも宮下くんの事が良いなって思ってたらしく、付き合いだしちゃったの。お互いにずっと好きだったのに今まで―――――」

「なぁ…文香…」

私が話している途中で則ちゃんが私の名前を呼んだ。
則ちゃんに名前を呼ばれるのが好きで、私はご機嫌で返事をして彼を見上げた。
だけど則ちゃんは少し表情を曇らせ何かを考えているように口を噤んでいた。
そして、次の瞬間に繋いでいる手に力を込めて思いもよらない言葉を口にする。

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