友達のままがいい
第4章 (過去)高校生
「…もう文香とは手を繋いで歩けない…」
突然の告白で、その意味を理解することができなかった。
「…どういう…こと?」
私の問いに、則ちゃんは照れくさそうに笑いボソリとつぶやいた。
「うん…少し前に彼女できた…だから…」
その言葉に頭の中が真っ白になり、ずっとあり続けると思った関係が一瞬にして崩壊した。
「…文香??」
俯く私の顔を覗き込む則ちゃんに私は笑ってあげることしかできずに、彼女でもない私が手を繋ぐべきではないと思い手を離した。
そして…
「そう…なんだ…おめでとう」
泣きたいのを我慢していつもの笑顔でおめでとうと告げると、則ちゃんは恥ずかしそうに笑って小さく頷いた。
そして、手も繋がずいつもの道を歩いて帰った。
いつも楽しかった道は悲しい道となり、私の心に暗い影を落とすことになる。