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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生


「いつも辛そうな顔して…辛かったら泣くべきだよ。じゃないと竹中さんがダメになる…」

「辛くなんて…」

ないとは言えない。
則ちゃんが私から離れていって辛くないはずがない。
辛くて辛くて…どうしたらいいのか分からない…

「だったらどうしてそんな表情をするの?どうして笑わないの?」

「それはっ…」

中里くんの問いに答えられなかった。
理由ははっきりしているのに言葉にしたくなかった。
そう思ってうつむくと、ふわりと暖かなものが私を包みこんだ。

「言いたくないなら言わなくていいよ…けど、見てるほうがつらい…だから…僕の胸で泣いていいよ。そのために…声をかけたんだから…」

その言葉に、不覚にも大粒の涙を流してしまった。
則ちゃんから彼女ができたと言われたあの日から泣けなかった私は、やっと泣くことができた。
その間中、中里くんはずっと背中を撫でて何も言わずに付き添ってくれていた。

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