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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生


「泣いたりして…ごめん…なさい」

「いいよ…そのために一緒に帰ろうって誘ったんだから…泣いてすっきりすればきっと笑顔になれるよ」

中里くんの胸から顔を上げると、彼はにっこりとほほ笑んでくれて、その笑顔が優しくて癒される。
私が泣き止むと、自然と中里くんは手を繋いで一緒に歩き出した。
その手のぬくもりは則ちゃんを思い出させてまた涙があふれてくる。
そのたびに止まっては抱きしめてくれる。
何度も何度も抱きしめては背中をさすって、私の気が済むまで付き合ってくれた。

「どうして…そんなに優しくしてくれるんですか?」

何度目かの時に聞くと、中里くんは顔を赤く染め私から目を背けた。
何か言いにくい事なのかと考えていると私の耳に届いた言葉に驚くしかなかった。

「えっ…でもっ…」

驚く私に中里くんは真剣な瞳を向けて、先ほどと同じ言葉を口にする。

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