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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生


「僕…ずっと竹中さんの事…好きだったんだ…はじめは…篠宮くんとつきあってるとばかり思ってたんだけど…違うってわかって…傷ついた心に付け入るような事はしたくなかったんだけど…ほっておけなくて…急に抱きしめられて困ったよね…ごめん」

目じりを下げて笑う中里くんに私は慌てて首を横に振った。

「少し前から篠宮くんが仲良くしている女の子がいるのは知ってたんだ。でも帰るのはいつも竹中さんと一緒で…でもある日を境に帰らなくなったよね。そしてだんだんと笑わなくなって…いつも辛そうに俯いて…そんな竹中さんを見てるのが僕は辛くて…声をかけちゃったんだ。まだ…竹中さんの中には篠宮くんがいるのは分かってる…けど僕は竹中さんの力になりたいんだ…まずは…友達から?…ダメかな?」

心もとない表情をする中里くんにダメとは言えなかった。
こんな私のことを好きだと言ってくれる言葉に救われた。

「…友達…からなら…」

「本当?よかった…」

くったくなく笑う顔がまぶしく、それでいて私の心を照らしてくれたのは間違いない。

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