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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

いつも寄る公園も素通りする。
その先を曲がればいつも別れる交差点で、このまま別れるのは嫌だと言葉を探す。
だけど言葉が見つからないまま交差点に到着しても、慶介は振り向きもせずに自分の家に向かって歩いていた。

「あっ…慶介…」

背中に声をかけると慶介は振り向き、言葉に詰まっている私の手を取り…

「おいで」

と、彼の帰る方に誘導される。
いつもの優しい口調にホッとして、話はしなかったけど手を繋いでくれたことに安堵していた。

「ここ僕の家なんだ。誰もいないけどあがってよ。」

少し大きな家の前で声をかけられ、初めての慶介の家に緊張した。
ご両親は仕事で不在、お姉さんは大学生で一人暮らしの為家の中は私たち二人っきり。
もちろん、その後の展開も予想はついた。
だけど、嫌ではない。
逆に少し期待して、慶介の機嫌が直ったと私は思っていた。

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