テキストサイズ

友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

則ちゃんに彼女ができたときの私の変わりようを慶介はずっと見ていたらしかった。
だから当時私が好きだったことももちろん知っている。
何度もつきあおうって言われたけど彼を忘れられないと断り続けた時もあった。
それでも、一人ぼっちの私の傍にずっといてくれた慶介の気持ちに応えようと思ったし、何より、私が笑顔を取り戻すことができたのは彼のおかげだった。
今でも則ちゃんに気持ちがないわけではない。
だけど、今は則ちゃんより慶介の方が大事だと思える。
私をずっと気にかけてくれた慶介の方が大事だと…だから誤解を解きたかった。
ただ、懐かしくて話していただけで他意はないのだと…
そんなことを考えていると、ノックがして暖かいココアと冷たいおしぼりを持った慶介が入ってきた。
それをテーブルに置き、何も言わずに部屋を出て行こうとする。
どんなことが起こっても、そんな気遣いを忘れない慶介を愛おしく思い手離しくないと思う。

「待って…話を聞いて…お願い」

出ていこうとする足は止まっても振り返ってもくれない。

「お願い…話を聞いて…お願いだから…」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ