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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生

言ってることがめちゃくちゃだってわかってる。
だけど私の思いが伝わればいいと思う。
今は慶介が大事で慶介が大好きだって…

「文香…何もしないから…抱きしめていい?」

慶介がやっと私のほうを振り返り、膝の上で握りしめている手をそっと包んでくれた。
その言葉にコクリとうなずくと、慶介はいつものように優しく抱きしめてくれる。
そのぬくもりはいつもと変わらずホッとする。

「…慶介…好き…だよ…私はっ…」

「うん…ごめん…ごめんね」

抱きしめたまま背中をさすってくれる手に安心感すら感じる。

「…あいつと楽しそうに話をしているのを見て嫉妬したんだ。あ~…文香はまだこいつのこと忘れてないんだなって思ったら、むかついた。…情けないね…ただ一緒にいるのを見ただけなのに。ずっと何かを言いたそうなのも感じてた。けど、こんな嫉妬してる顔見せられないと思った。…けど、帰り際の文香の顔見てたまらなく抱きたいと思ったんだ。酷いことしようとは全然思ってなかった…それなのに拒否られて…気にしてるのは僕の方だよね…文香…ごめんね。」

「…うん…」

それだけ言うのが精一杯だった。

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