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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生


その日は、それ以上の事は何もなくただ抱き合ったまま時間を過ごした
それだけでお互いの思いが伝わったように愛情は深まった気がした。
そんな出来事があってから慶介は今まで以上にやさしくなった。

「篠宮くんと話しておいでよ。きっと文香が話しかけたら喜んでくれるよ」

とまで言って私の心を一番に考えて背中を押してくれる。
だけど不安な目で遠くから見てるのも分かっているから自分からは話しかけないようにした。
それでも則ちゃんは話しかけてくるから相手をする。
だけど、それだけ。
それ以上の感情はもたない…

「それでね。お弁当を食べようとしたら両方ともご飯だけで皆のおかずを一品ずつあげたんだよ」

「だったらお兄さんの方はご飯なしのおかずだけ?」

「きっとそうだね。男の人だったらそれは辛いよね。慶介はおかずだけだったらどうする?」

「僕?…購買でパンを買うかな?」

「その手があったか。それより慶介…」

顔を上げた瞬間慶介に唇をふさがれ、沈みゆく太陽に照らされながらキスをする。

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