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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生


「あの時は…ごめんなさい…ものすごく…慶介を傷つけたよね」

私の身勝手のために傷つけてしまった慶介。
あの時は、ちゃんと謝ることもできなかったから改めて謝罪した。
だけど、慶介は昔と変わらず優しい笑顔で、あの時の苦悶に歪んだ表情が嘘みたいに私の目の前にいてくれる。

「当時はね…さすがにショックだったし辛かったけどね…それでも文香の気持ちはなんとなく分かってたから…それでも手離せなかったのは僕の方。もっと早く別れを切り出せてたら文香を苦しめることなんてなかったんだよね…僕の方こそごめんね」

「…慶介は…優しすぎるよ…」

慶介の言葉に涙があふれてくる。
100人いたら100人とも私が悪いというだろう
それなのに慶介は自分が悪いと言ってくれる。
本当に優しくて、泣けるくらい優しい。

「そうかな…?好きだったら幸せになってもらいって思うよ。別れた後でもね――――…文香は今、幸せ?」

その問いに答えることができなかった。
則ちゃんとは何もない今…それ以上に別れ別れになってしまう現状を幸せとは言えない…

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