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友達のままがいい

第4章 (過去)高校生


「僕はね…文香の幸せを思って別れを告げたんだよ。文香に笑ってほしかったから…それが僕の願いでもあるんだ。…思っていても気持ちは伝わらない。言葉にしないと何も伝わらないんだよ。今までみたいに学校で会えるわけじゃない。それでもいいの?」

良いなんて思ってはいない。
離れ離れになってこれっきりになるのは嫌だった。
だけど、どうしていいのか分からない。
私を拒絶している則ちゃんにどう向き合っていいのか分からなかった。

「僕がとやかく言う権利はないけど…本当に文香には幸せになってもらいたいんだ。ずっと好きだった相手とね…おせっかいでごめんね」

私は首を横に振ることしかできなかった。
そんな私の頭をポンポンとたたく慶介は、最後に頑張ってと言葉を残して帰って行った。
頑張ってと言われても、何をどう頑張っていいのか分からない。
今更…声をかけても則ちゃんはきっと迷惑としか思わないし、私の事なんて何とも思っていない。
きっと、友達とさえ思ってはいない…

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