俊光と菜子のホントの関係
第5章 番外編『ワタシと菜子』
「……おう、明里!」
ビクッ!
後ろからいきなり声をかけられたもんだから、驚いて体が震え上がった。慌てて振り返ると――
「あっ、ひ、晃(ひかる)っ……」
そこには寮生活中の晃が、イタズラっぽく笑って立っていた。学ランのまま来たんだ。
もうっ。いつも休みの日にしか来ないのに、こんな時に限って現れるなんてーっ。
「め、珍しいじゃん、平日に来るなんて。どうしたの?」
禁断的な調べ事をしていたのを悟られないように、平静を装った。
「あー、ちょっとヘアカットする道具を借りに来たんだ。最近、髪切ってってよく言われるからさぁ……
お? それ、お父さんのタブレットじゃん。何か検索してたの?」
「えっ! あ……あー、そうっ。ちょっとねー……えへへー」
と、菜子風に笑って誤魔化しながら、履歴という履歴は全て削除した。
こんなの調べてたなんて知られたら、絶対怪しまれるしっ。