俊光と菜子のホントの関係
第5章 番外編『ワタシと菜子』
「あー喉乾いた。オレ、麦茶もらうわ。明里は?」
「ワタシはいいや。さっき飲んだから」
「あっそ」
「…………」
ワタシは密かに、冷蔵庫から麦茶を出す晃をジッと見てみた。
きょうだいで恋愛……てことは、ワタシだったら晃と恋愛するようなもんかー。
晃って甘い顔立ちをしていて、よく女の子みたいで可愛いって言われるんだよねー……なんて、晃と一卵性の双子であるワタシがそれ言うと、自動的にワタシ自身の自慢をしていることになっちゃうんだけど。
身長も男の子にしては可愛く、ワタシより3センチだけ高い163。
性格は山田ほどガキではないけど、俊光さんほど落ち着いていてもない。まぁ、異性には優しい方だと思うけど。
スケベ具合は……思春期だから、ちょっと盛(さか)んかもしれないわね。
それらを踏まえた上で、「うーーーーん……」と名探偵みたいにアゴを触りながら、晃と恋愛する画を浮かべてみた。
「……何? 明里」
見られてることに気づいた晃に対して、ワタシは――
「……いやぁー……ワタシ、アンタとは無いわぁー……」
と、バッサリと結論付けた。
「あぁ? 無いわって何が? 妙に嫌な感じがするんだけど」
「ごめん、気にしないで。こっちの話だから」
ワタシに勝手な禁断的妄想をされた上に、ワケもわからず切り捨てられた晃は「なんなんだよー、たくっ……」とブツくさ文句言いながら、麦茶を注いだコップに口をつけて、ゴクゴクと飲んだ。
どう考えてもワタシのタイプじゃないし。ていうか、おんなじ顔してる時点で、もう対象外よね。
身長が180センチ以上の、塩顔イケメンだったらアリだったんだけどなぁー……。