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俊光と菜子のホントの関係

第7章 『少しだけでも……』


「……よーしっ。俊光、こっちも眩しい女子高生に負けない、眩しい男子大学生画像を送ってやろうぜっ!」


 俺の思いにちっとも気づいてない智樹が、明るくハリキりだした。


 ん? 眩しい男子大学生?


「は? 何それ……うわっ!」


 いきなりガッシリと肩を組まれると、智樹の腕の先で、カシャッというシャッター音がした。


 っ……智樹のヤツ、俺のスマホで勝手に撮影しやがった。


「おーおー、いいじゃんいいじゃん! 女子の大好物、塩顔と美形のイケメンラブラブツーショット!
 ……はい、送信っ!」


「おいっ、勝手に送んなって!」


 やりたい放題だな、コイツはっ!


「いいだろ別にー。お前の物はオレの物、オレの物はオレの物だ」

「何回言うんだ、そのセリフっ。もう返せって。これ以上お前に貸しておくとエスカレートするっ」


 やっと取り返すと、智樹は「ぶぅー」と唇を突き出していじけた。それ、全然可愛くねぇから。


 スマホを覗いてみる。……あーあ、しっかりと送られちゃってるし。菜子に弁解をしておこう。

 画像に既読が付く前に、トークを素早く打って送信した。

 しかし、菜子とのトークルームが画像でいっぱいだ。

 菜子のヤツ、スマホデビューしたのがよっぽど嬉しいんだろうな。高校入学してから、俺にどれだけ画像を送ってきたことか。まぁ、高校生活が楽しいみたいだから、それはそれは何よりなんだけど。


 今まで送られてきた画像を、何気なく一枚一枚振り返るように見ていく。


 大半は高校での風景だけど、休みの日に遊びに行った時のもあったりで。

 ぷっ。この明里ちゃんとの変顔、マジでおかしすぎ。

 新しい友達とも、すっかり打ち解けている。


 どの画像も、菜子の楽しげな様子が伝わってきて、見ている方をも楽しい気分にさせる。


 更によく見ていくと、明里ちゃんに短く切られ過ぎた髪も、気持ち伸びてきている。

 セーラー服姿も様になって……。

 こうして画像を見ていると、微妙な変化がより気づきやすくて……菜子が常にそばにいるみたいだ。


 だから、いっぱい送られてくる画像も、決して迷惑になったりはしなかった。


 智樹じゃねぇけど、俺も心を奪われていたりする。


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