俊光と菜子のホントの関係
第7章 『少しだけでも……』
「……俊光」
「ん? 何だよ」
ふいに呼ばれ智樹の方を見ると、片手で頬杖ついて俺に意味深な視線を送ってくる。
「お前、人前ではあんまり菜子ちゃんの画像に見入るな。見入っても三秒以内だぞ。わかったな?」
いや。『わかったな?』と言われても、よくわからねぇよ。
だから「何でだよ?」と聞き返したら、智樹は少しニヤッとしてから口を開いた。
「顔に出るからだよ。菜子ちゃんを愛おしく想う気持ちがな」
「っ! なぁーーーーっ!?」
智樹の冷やかしツッコミに、すっとんきょうなを声を上げてしまうと、周囲の視線は一瞬にして俺の物となってしまった。
智樹……。これだけに関しては『お前の物はオレの物。オレの物はオレの物だ』としてくれないか……?
「ぶっはははははーっ! お前、変な声出しすぎー!
だから俊光って好きだわー!」
智樹が腹を抱えて笑いだす横で、俺は恥ずかしくて身を縮こませた。
だぁーもうっ、いたたまれねぇしっ!