俊光と菜子のホントの関係
第8章 『かけがえのない兄妹』
「――池崎君?」
「はっ、はいぃっ」
また佐原先輩が声をかけに来た。
「本当に大丈夫? またボーッとしてたけど、体調でも悪いんじゃ……」
「だ、大丈夫ですっ。また考え事をしてただけなんでっ。すみません、何回も……」
平謝りする俺に、先輩は「無理しないでね」とにこやかに注意して戻っていった。
あー、またやってしまった。こんなところで思い出にどっぷりと浸るって。しかも、また菜子関連の……。いい加減にしろって、俺。
また考え事をしても、手だけはちゃんと動かすように心がけよう。でないと、先輩がまた気にかけて来る。