俊光と菜子のホントの関係
第8章 『かけがえのない兄妹』
*
今日は、俊光が買ってきてくれたフタバのケーキがあるから、四人でソファーでくつろぎながら、夕食後のティータイムをすることにした。
「んー、美味しー! 幸せー」
ふふっ。菜子ったら、ニッコニコしながら二個ケーキ食べてるー。
可愛いもんよ。ケーキであんなに喜ぶなんて。高校生とは思えない無邪気っぷりだわ。ホント、いつまでも小さな子供みたい。
それに――
「ねぇ俊光君。これ一口食べてみる?」
「いいの? じゃあ貰おう。……はい、一口」
「っ、いやぁっ! それ一口じゃなーいっ! フォークでぶっ刺して丸ごと持っていこうとしないでよぉ!」
「はははっ。ジョーダンに決まってんだろー」
俊光も菜子も、兄妹としてお互いを慕い合ってるし。
そんな二人のやり取りを微笑ましく見つめながら、
「ねぇねぇ勝治さん……」と、二人に聞こえないように小声で話かけると、
勝治さんも私に合わせて「何だい?」と声を潜めてくれた。
「あの二人、ホントに仲がいいわよねー」
「……あぁ」
「この二人の姿に……きっと『あの人』も、喜んでいるでしょうね」
「うん……。そうに違いない」
私と勝治さんにとって『大事なあの人』が、二人を愛おしそうに見つめる姿を想像すると……あーダメダメ。せっかく甘いケーキ食べてるのに、涙で塩辛くなっちゃうわ、ぐすん……。あら、勝治さんまで目を潤ませちゃって。考えてることは同じね。