俊光と菜子のホントの関係
第9章 『勝手にジェラシってる』
「――……え? 俊光君を『キモい』って思ったこと? ないよぉーそんなことー」
休み時間。後ろの席に座る友達のエリナから、俊光君のことを質問されて、そう答えた。
「ふーん。まぁ、そうだろうねー。あのお兄さんだったら、アタシだってキモいとか思わないもーん」
エリナは、身長167センチのスレンダー美人。157センチのポチャ体型(私)からしたら、かなり憧れる存在。髪も茶髪のサラサラロングヘア。それでいて、性格はおおらかで、マイペースにのんびり喋るのも特徴の一つ。
「いいなぁー菜子はー。アタシのバカエロ兄貴と交換してくんなーい?」
「ば……バカエロ?」
エリナって、自分のお兄ちゃんに対してスゴい毒を吐くよね?
「エリナのお兄さんって、一体どんな人なの?」
「そうねぇー……いっつも女に飢えてる感じー?
妹のアタシに『友達を紹介してくれっ』って懇願(こんがん)してくんのー。九つも上のクセして、高一のJK紹介しろとかって、マジで犯罪すぎでしょう。
見た目はまぁまぁだけど、中身がそんなんだから彼女出来ないのよねー」
「そ、そうなんだぁ……」
ディスっていても、変わらずのんびり口調のエリナ。
その口調とは裏腹の内容に、私はたじろぐばかり。
同じお兄ちゃんでも、俊光君とは人種が全然違う……。
「だからぁ、菜子のお兄さんと交換してぇー?」
「や、やだよぉ! そこまで聞いて『うん、いいよ!』なんて冗談でも言えないよぉー!
そうじゃなくたって、私は俊光君以外のお兄ちゃんなんて考えられないもん!」
それに話を聞く限り、エリナのお兄さんとは手を繋ぎたいなんて絶対に思えないしっ!
お兄ちゃんの面では、全然憧れられなーいっ!