俊光と菜子のホントの関係
第10章 『抑えきれなくて』
「あっ……そうだった。これ、結局返せなかったなぁ……」
俊光君が朝からずっと着ていたパーカー。と思ったら、
何となく生唾をゴクリと飲んじゃう私。
ちょ……ちょっとだけ……着てみたい……かも。
「し……失礼しまぁーす……」
私はドキドキしながら、それに腕を通してみた。
「わ……」
俊光君からしたら普通のサイズだろうけど、私にはLLサイズ並に大きくてブカブカで、袖を通しても手まで出しきれない。
やっぱり、俊光君も男の人なんだよね。そう実感すると、余計にドキドキしちゃう。
それに……匂いと温もりがまだ残ってる。
なんかこれ着てると、実際に俊光君が私を包み込んでいるみたい。
さっきの延長、的な……。
って、ひゃーーーー!
ヤバいよヤバいよぉーっ! 変なことしたら、ムズムズウズウズが増しちゃったぁっ!
うわーんっ! ホントに私ってば変っ!
変、変、変……へぇーーんっ!
せっかく俊光君が『早く服着ないと風邪引くぞ』と促してくれたのに、私は着替えるのも忘れ、寝る時間までずーっとジタバタと悶え続けちゃっていた。
―次話へ続く―