俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
*
朝に弱い俺にしては珍しく、五時過ぎに目が覚めた。
早っ……。
日はまだ完全には出ていなくて薄暗いけど、スズメが朝だとチュンチュン鳴いて教えてくれている。
「っ、んー……」
その無邪気な鳴き声を聴きながら、全身を伸ばして起こすと、
「うっ」
ふと感じた異変に体を強張らせた。
「こっ……これはまさかっ……」
いやいやっ。何かの間違いだ……うん。
そう強く思い込ませてから恐る恐る布団を捲り、下半身を主によーく確認した。
「……うわっ!」
身に起きた事実に直視出来ず、再び布団を下半身にかけて頭を抱えた。
マジかよっ……や、やってしまった……。
『夢精』……してるし。しかも、かなり。
うわー……出来ることなら、このままなかったことにしたい。
けど、もう起きてしまった生理現象からこれ以上目を反らすワケにもいかず、観念してベッドから降りた。
うっ……。すんげー濡れてるから、動くと張り付いてきて気持ち悪っ。
下半身にも心にも、何とも言えない羞恥が付きまとう。