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俊光と菜子のホントの関係

第11章 『一旦距離を置きたい』



「……てなわけでね、触られてから思い出す度に、何か変に身体がムズムズウズウズしちゃうんだー」

「ムズムズウズウズって、水虫みたいな症状ねぇ」

「水虫じゃないけど、ホントにそういう症状なの。それがずっとたまらなくて気恥ずかしくて……ねぇ、なんだと思う?」

「うーん。身体を触られてからそういう症状が出るってことは――」


「それ、たぶん『よくじょう』だよねぇー」


「どひゃあーっ!」


 突然の明里以外の声に驚きすぎて、思わずオーバーなリアクションをしちゃったよぉ!

 前触れもなくナイショ話に参加してきたのは、


「え、エリナぁっ!」


 スレンダー美人でのんびり口調のエリナだった。もーう、悪気もなくニンマリとしてそばに立ってるしー。


「ちょっとエリナっ。あんた、うちらの話をどこから聞いてたのよっ?」


 明里が慌てて問いかけても、エリナはお構いなしに「えーとぉ……」と口元に人差し指を置いて、のんびりとマイペースに思い出す素振りを見せる。それから少しして、ようやく口を開いた。


「あーそうそう。『何か変に身体がムズムズウズウズしちゃうんだー』ってところから……だったかなぁ?」

「あ、そこからなんだね」


 危なかったぁ。俊光君の名前が出たところは聞かれなかったみたい。

 エリナにわからないように、明里と一緒にホッと胸を撫で下ろした。

 友達とはいえど、俊光君との事だけは明里以外の人に知られるわけにはいかないもんね。

 なんせ、内容が内容だから……

 と明確に思い出しては、またドキドキムズムズウズウズしちゃう私。


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