俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
学校に着くなり、明里に人気(ひとけ)の少ない廊下の隅へと誘われると、私はそこでやっと昨日の出来事を打ち明けたの。
したら、
「……えぇーっ!? 俊光さんに抱きしめられてチューされて胸を揉まれたぁ!?」
「キャーッ! 明里ぃ、言い方と捉え方ーっ! あと声デカいってぇー!」
「うぐっ」
病み上がりとは思えない大袈裟なリアクションの明里に、たじろいで口を塞いだ。
辺りを用心深く見渡す。幸い、誰の耳にも届かなかったみたい。はぁ、良かったぁ……。
「やだもう。それじゃあまるで、俊光君が痴漢か変態みたいだよぉー」
「ごめんごめん。何かあり得ない内容で驚いちゃってテンパっちゃって、つい……」
「うん……そうだよね。驚くよね。私だってビックリしたもん。俊光君が私を落ち着かせるために、あそこまでしてくれるなんて思わなくて……。胸は事故だったけど」
昨日のことを思い出すだけで、された時と同じぐらいドキドキするし……うぅー、またムズムズウズウズしてくるしっ。
「菜子、大丈夫? 今度はあんたが具合悪そうよ? モジモジしたり体をくねらせたりして」
「あ……うん……じ、実はね――」
恥ずかしながらも、私はこの身体の異変のことも打ち明けてみた。