俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
「俊光」
「な、何だよ?」
「お前さー……祐太に合コンをセッティングしてもらって、一晩だけでもオッケーな女子をお持ち帰りしてみたらどうだ?」
「………………は、はぁーっ!?」
今のは耳を疑ったぞ!? 女子をお持ち帰りってっ……。
ありえない提案をされた俺は、ありえない気持ちでいっぱいになり口をパクパクとさせていると、智樹は更に容赦なく口を開いた。
「一人で抜くのが無理ならさ、相手がいればいいだろ? やってる間ぐらいは、目の前の相手のことで頭がいっぱいになれるだろうから、菜子ちゃんが浮かぶこともないし、気持ちいいし、スッキリも出来る。それならバイトの時間をわざわざ増やしてまで、避けたり我慢したりしなくてもいいじゃん。
なに、大丈夫だ。もし実行に移したとしても、オレはお前を軽蔑したりしない。知らないフリして黙っててやる。祐太にもその相手にも、口止めすればバレねぇって」
「な、な、な……」
智樹のヤツっ、どこまで本気で言ってんだっ!?
つらつらと述べられた『お持ち帰り提案』に言葉を失い、一言も一文字も返せないでいたら、
「んー? 呼んだか?」
背後から、聞き慣れた爽やかな声がしてきた。
ちょうど今、話に出てきた祐太だった。
智樹は『待ってました』といわんばかりに、祐太に意味深な笑みを向ける。
うわ。それ、嫌な予感しかしねぇぞ……。