俊光と菜子のホントの関係
第11章 『一旦距離を置きたい』
「やめろっ! 冗談じゃねぇっ! ただ抜く目的だけのセックスなんて誰がするかっ!
俺はなぁ、お互いに心から好きだと想い合えるコとしか、したくねぇんだよっ!
一夜限りのアバンチュールなんて、そんな卑劣なことをしてまでスッキリするぐらいなら、悶々としたまま何回も何十回も夢精し続けて、『これだから童貞は』って笑われてる方が、まだマシだっつーのっ!」
「………………」
あ。
捲し立てたあとに、はたと我を取り戻すと、尋常じゃない熱が上昇。
ピタリと卑猥な計画をやめ、俺をポカンとして見つめる二人の表情で、発したセリフの恥ずかしさを余計に実感。熱は、一気に限界にまで達した。
しまった……。つい大声で小っ恥ずかしいことをっ……。『童貞』というところまでわざわざ明かしてしまったし……。
恐る恐る周りを見渡せば、教室にいる全員が俺に視線を刺している……かと思えば、次にはなぜか「おぉー」と歓声っぽいのを上げ、更になぜか拍手まで湧き起こした。
「…………っ」
そこまでされる意味はわからないが、とにかく俺は今すぐにでも消えてなくなりたいっ……。
で、俺に大赤恥をかかせたイケメン二人は、この状況に対してどんな反応を示しているのかというと――無責任にも、ものスゲー苦しそうに肩を揺らして笑っているだけだった。