俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
病院に着いて、菜子を抱えたまま受付で病状を伝えたら、すぐに病室を用意してくれた。
日曜日も受け付けてくれる病院があって助かった……。
穏やかそうな女の先生が、ベッドで横になった菜子を丁寧に診(み)ている。
菜子……。
椅子に座っててもいいって言われたのに、落ち着かなくて立ちっぱなしで様子を見ている。
まさか、良からぬ病気とかじゃないよな?
俺の心配しすぎな視線を菜子と一緒になって浴び続けていた先生は、体を一通り見終わると、足元にあった掛布団を、顔のとこまでそっと掛けてくれた。
「……うん。熱はかなり高いですが、大丈夫です。ただの風邪ですねー」
「はぁ、そうですか……良かったぁ」
安心したら気が抜けて、その場で床に座り込みそうになった。
「あとで点滴を打ちましょう」
「はい、よろしくお願いします」
「俊光君……ごめんなさーい。心配かけて……」
菜子が布団から少し顔を出して、申し訳なさそうにしゅんとして謝ってきた。
「だーかーらぁ、そんなこと気にすんなって」
「でもぉ……」
「いいから大人しく寝てろ。先生もさっき、ここで休んでていいって言ってくれたんだから」
「うん……ありがとー」
いいんだよ、本当。俺は、お前が無事ならそれで……。
そんなセリフが何となく言えず、心の中で留めておいた。