俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
「ふふっ、優しいお兄さんですねー。妹さんのことを、ずっと心配そうに見ていたりして」
「えっ」
先生が急に冷やかすように言ったもんだから、つい顔がポッと熱くなってしまった。
「でも最初、恋人同士かと思いました。受付の者もそう思ったみたいなんですよ。大事そうにお姫様だっこしてきたそうですから……」
と、更にクスクスと笑われると、焦りの熱がどんどん上がっていくのを感じた。
「い、いやっ。それは急いでいたし、コイツ歩けなかったもんですからっ」
って、俺は何を本気で照れながら否定してんだよっ。
俺達って、そんなに恋人同士に見えるものなのか?
ここ最近やたら言われるような気がする。そんなんだと、余計に菜子のことを意識してしまう。
その菜子がジッと俺に視線を送っているのがわかるけど、今はちょっと顔をまともに見ることが出来ない。
い……いたたまれない。
「えーと……俺、ちょっと両親に電話してきます」
とかいって、逃げるように病室から出た。
はぁ……まいったな。俺まで熱が上がりそうだ。いや、もう上がってるか。