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俊光と菜子のホントの関係

第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』



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 今日も元気に朝ご飯を美味しく食べたあと、セーラー服に着替えた私は洗面所で、

「ふんふんふーん、ふふふふふーん」

 と、陽気に定番の鼻歌を歌いながら、毛先をヘアアイロンで緩く内巻きにしているんだー。


「……やったぁー、上手く出来たぁー」


 鏡を見ながら、毛先を摘まんでニマニマしちゃう私。

 だって昨日、晃(ひかる)君に髪を整えてもらったことで、やっと理想のセミロングになれたから嬉しくて!

 肩が隠れるぐらいまでに伸びた髪を、晃君は『レイヤーカット』とやらをしてくれた。毛先をただ真っ直ぐに切るんじゃなくて、段差をつけて軽さも動きも出せるようにしたんだって。まだプロでもないのに、そんな技術まで持ち合わせてるなんて……。晃君ってホントにスゴいなぁ。感心しちゃうよ。

 確か、明里に強引に『ジャッキン……』と切られちゃったのが去年の四月の頭で、今が二月の中旬だからー……と、月を順に追って指折り数えてみる。

 ……はぁー、ここまで伸びるのに十ヶ月もかかったんだ。

 私、例え明里がプロの美容師さんになったとしても、カットだけはもう二度と絶対にしてもらいたくないっ。あの『ジャッキン……』って恐ろしく鈍い音が、いつまでも耳にまとわりついてて忘れられなくて。今じゃ私のトラウマだもん。明里にしてもらうのは、ヘアアレンジだけにするんだから。



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