俊光と菜子のホントの関係
第14章 『俊光君への兄(本命)チョコ』
「お、おいっ、急に何で――」
「わ、私っ……
俊光君のことが――大好きなのっ……!」
「…………えっ……?」
秘めた気持ちが伝わってほしくて、更にぎゅーっと込める。
俊光君への本命チョコ……最後にしたくない。
したくないっ……。
でも――
「…………っ」
完全に離したくなくなっちゃう寸前で腕の力を抜くと、しっくりして安心出来て心地いいぬくもりから、重い足取りで一歩下がって離れた。
やっぱり俊光君から離れると、とても寒くて心細い。でも、こうしないといけないから。
「な……菜子……?」
「だって……俊光君は……
私にとって、たった一人のお兄ちゃんだから。
かけがえのない、大好きなお兄ちゃんだから」
ダメ。ジッと私を見つめる俊光君を目にしたら、切ない気持ちがぐっと込み上げてきちゃう。
なんとか涙を堪えて、精一杯笑ってみせた。