俊光と菜子のホントの関係
第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』
玄関手前まで来たところで、智樹が腕時計を見て時間を確認した。
「俊光、もう図書館に行くか? 祐太はサークルがあるって言ってたけど、オレはもう真っ直ぐ帰るだけだから。なんなら一緒に時間潰すの付き合うぞ」
「そうだなー。まだ少し余裕があるし……あ、あれ?」
俺も自分で時間を確認しようと、リュックの中でスマホを探っていたら……
中の持ち物、何かが足りない。
「ん? どうした?」
「いや、何かないなと思って……」
これもあるしあれもある……と、消去法で何がないかをたどっていくと……あ、わかった。
「俺、さっきの教室に筆箱忘れたかも。ちょっと取ってくる」
「したら、オレはここで待ってるから」
「悪い。すぐに戻る」
忘れ物するって……マジで俺、ボーッとしすぎだな。
自分に呆れつつ、駆け足で来た道を戻っていった。