俊光と菜子のホントの関係
第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』
うそだろっ? これっ……告白じゃねぇかよっ。
俺が告白をされたわけじゃないのに、高橋の想いの熱が伝わってきて妙に緊張し、ドキドキと鼓動が強く打たれてくる。
そ、そっか……。あの二人ってよく一緒にいるなと思ったら……高橋の方が、そういうことだったのか……。って、今はそのことに感慨深くなっている場合じゃねぇって!
ヤバいぞ。これ、絶対第三者に見られたくないシチュエーションじゃんか。あーしまった。こんなことなら早く姿を見せれば良かった。
二人も、俺がいることにこれっぽっちも気づいてない。もうすっかり二人だけの世界が出来上がってしまっているから、これから気づく予定もなさそうだ。
緊張に焦りも加わって、鼓動がますます激しくなる。
ど……どうする? これ以上盗み聞きするわけにもいかないから、思いきって今立ち上がった方が賢明か? 智樹も待たせているし。
けど、佐藤に必死な高橋のことを思うとなかなか決断に至れなくて、腰を上げようとしたりそのまま置いておこうとしたりで、一人でグダグダと迷っているうちに、
「もし、よかったら……このチョコ、受け取ってっ!」
高橋が声を震わせて、佐藤に確たる返事を求めた。
せめてと思い二人を見ないようにしているから動きはわからないけど、たぶん高橋は、チョコを佐藤に向けて差し出しているんだと思う。
……ますます出れなくなってしまった。