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俊光と菜子のホントの関係

第15章 『兄チョコに隠されていた想いに……』


「……ほらなー。やっぱそれ、本命だったじゃんかよー」

「智樹っ……」


 玄関で待っていたハズの智樹が、いつの間にか近くに立っていて、シシシといたずらっぽく笑っている。


「なかなか戻ってこないから、どうせ天然でもしてんだろと思って様子を見に来たんだよ。
 んで? これでハッキリとわかったわけだけど……どうすんだよ?」

「どうする……って……」

「この期に及んで、まだ何も言わないでおくとか……しないよな?」

「…………」

「……なぁ智樹ぃ、なんの話してんのぉ? ていうか俊光も、そのチョコは一体誰から貰ったんだよぉー。なぁーってぇ」


 祐太が駄々っ子みたいに問いかけてくるのを遠くで聞き流しながら、思った。


 まだ何も言わないでおくとか……さすがの俺もここまで知っちゃったら、もう無理だよ。

 兄チョコに隠されていた本当の想いに、菜子の本当の想いに、やっと今気づけたのに。これ以上黙っておくなんてことは……もう、出来る気がしない。


「俺……ちょっと電話してくるっ――」


「あ、おいっ、待て俊光っ! そのチョコの送り主が誰か、まだ聞いてないぞぉー!」


 俺は、しつこい祐太を振り切るように踵を返して走り出した。




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