俊光と菜子のホントの関係
第17章 『重なる、兄妹のホントの想い』
*
菜子と二人きりになり、静まり返ったスタッフルーム。
ドキドキと強く打つ自身の鼓動の音までハッキリと耳に聞こえてくる。菜子にまで聞こえるんじゃないかと気にかかってしまう。
それでも俺は、菜子に近づこうとした。
「…………菜子」
「っ……」
俺が後ろからそっと触れるように声をかけると、菜子はピクッと肩を揺らして反応をした。
「あの……さ、」
声でだけじゃなくて、実際に手でも菜子の肩に触れようとした。
なのに、
「ーーーーっ!」
「あっ、おいっ……」
俺の動きを気配で感知したのか、菜子は少しも目を合わせようともしないで、警戒心の強い猫みたいに素早くさっと逃げていき、窓の隅に寄せてあるカーテンにしがみついて顔を埋めた。
……って、何でだよっ。