俊光と菜子のホントの関係
第2章 『俺と菜子』
ベッドのそばでひざまつき、間近で菜子の顔を眺める。
天使のような寝顔って、コイツのためにあるみたいだ。
とても無邪気で……とても愛おしい。
「たくっ。お前のせいで、気持ちが戻れなくなった」
「スー……スー……」
「今日だってな、告白を断ったんだぞ。お前が……」
「スー……スー……」
「菜子が……好きだから……」
「スー……んがっ」
「いっ!」
驚いて、思わずのけぞった。
今の、聞かれたか?
「…………スー……」
せ、セーフ……。はぁー、焦ったぁ。
「っ……くくっ」
時間差で笑いが込み上げてきた。
おっかしいヤツ。『んがっ』ってなんだよ『んがっ』って。驚かしやがって。鼻を摘まんだ仕返しか?
あー、やっぱり俺……妹(菜子)といたい。
もう、離れたくなくなる。
「菜子……」
想いが抑えきれず、顔と顔の距離を縮めていく。
けど、『そこ』に重ねると、更に歯止めが利かなくなりそうだと、寸前で理性が働いた。
っ……だよな。
俺は唇の行き先を変え、菜子のおでこにそっと押し当てた。
――菜子の熱が、唇に伝わってきた。