俊光と菜子のホントの関係
第18章 『三人で合コン』
*
俊光君と唇が重なる数センチ手前のところで突然、図書館のスタッフルームに現れた明里と智樹さん。
話を聞けば明里は、私が勝手に抜け出したあと、明里もエリナ達に断りを入れてから追いかけてきたっていうの。
んで、智樹さんと一緒に来たのは、明里が図書館へ向かってる途中、私を送った帰りの智樹さんと遭遇したみたいで。それで智樹さんが、そこからここまで明里を連れてきてくれたんだって(結果、大荷物を抱えた智樹さんを何往復もさせてしまった私と明里……。智樹さん、なんかごめんなさーい)。
それから私達は、スタッフルームでなんやかんやでゴタゴタしたあと、俊光君は図書館のお仕事へ。
私は、明里と智樹さんと一緒に図書館から出たあと、電車に乗って家に帰った……
ワケじゃないんだよね、実は。
じゃあ今は、どこにいるのかと言うと――
『オゥイエェーーッ! 子猫ちゃんたちーっ、どうもっありがとーうっ!』
マイク越しの智樹さんの声が、スピーカーを通して部屋中に響く。
トップバッターでプロ並の歌唱力を披露し、早くもノリノリスイッチが入っちゃっている智樹さん。アンド、私の隣でタンバリンをシャンシャンとリズム良く鳴らして、智樹さんに「ステキー!」と熱烈な声援を送っている明里。
――私達三人は今、地元の駅前にあるカラオケボックスにいたりする。
「はぁー……」
私は、二人のハイすぎるテンションにイマイチついていけてなくて、マラカスを持ったままポカーンとしちゃっていた。
「あーん、もう最高っ! やっぱり智樹さんは段違いでカッコいいわぁー!」
明里ったら、すっかりご機嫌になっちゃってるー。
図書館で会った時は……
(なぁーこぉーっ、あんたってコはぁーっ!
電話しても出ないっ! NINEしてもスルー! 一体どういう神経してんのぉっ!)
(ひゃーっ。ご、ごめんなさぁーいっ!)
あんなに雷をピシャンピシャンと激しく落としてたのに、今じゃ……
「キャー、智樹さぁーんっ!」
だもんねー。