俊光と菜子のホントの関係
第18章 『三人で合コン』
これ以上いじらないでぇーと訴えたのに、明里の私いじりは止まらず。それによって、私のムズムズウズウズがどんどん増してきちゃったところで智樹さんがトイレから戻ってきた。そこで、合コンはお開きとなった。
俊光君、もう駅に着いてるかもだよね。なのにどうしよう。まだムズムズウズウズしっぱなしだよぉー……。
ムズ痒い体をモジモジとしながらも、二人と一緒にレジカウンターに行き着いた。
ところが……
「えっ……あれっ?」
お会計をしなきゃいけないはずなのに、智樹さんはレジカウンターをあっさりとスルーしちゃった。店員さん達も営業スマイルで「ありがとうございましたー!」と元気よく言うだけで、全然止めようともしないし。
私と明里は状況が見えずで戸惑って、智樹さんと店員さんを交互に見る。
「あ、あのっ、智樹さんっ。お会計は?」
出入り口へ行きかけた智樹さんの背中に向かって、私が引き止めるように訊いたら、智樹さんは振り返り、イタズラっぽくシシシと笑った。
「いいのいいの。ここは――色男二人で折半したから」
「へぇ……?」
色男二人……ってことは、そのうちの一人って――
「わっ! 菜子、いきなり引っ張んないでよーっ!」
わかっちゃったら居ても立ってもいられなくなって、明里の手を強く引き、智樹さんを追い越してお店を出た。
「あっ……!」
したら、外の出入り口のそばに――私の大好きな姿があって、ドキンと胸が鳴った。
「……ただいま」
「おっ……おかえりなさいっ」
照れ臭そうにただいまを言う俊光君に、私の気持ちはお花がたくさん咲いたみたいにパァァ……と華やかになった。
あんだけ胸のことでムズムズウズウズしていたのに、俊光君を見た瞬間、キレイさっぱりなくなって、
――俊光君に会えてすごく嬉しい……。
って、ただそれだけになっちゃったよ。
―次話へ続く―