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俊光と菜子のホントの関係

第3章 番外編『オレと俊光』



 *



 ――高校一年生。


 あーあ。今日からとうとう高校生かぁ……。

 オレは初めての通学路を、かったるくダラダラと歩いていた。

 いやーしかし、桜が満開だ。道沿いにずらーっと連なって、花びらが舞って……まさに日本の美しき風景って感じだな。


 周りをふと見回すと新入生だらけ。親と一緒にいるヤツの方が多い。フレッシュな空気感が半端ない。


 ――中三の途中からこっちの方に来て、もう半年か。


『アイツ』も……無事に高校に入れたかな。


 元々は成績トップレベルのヤツだったから、高校に入るのはわけないと思う。

 だけど……どうだろうか……。



(っ……トモ君、ありがとう……大好きっ……)



『最後』に見た、アイツの無理した笑顔が脳裏を過り、胸の奥がギュッと痛くなる。



 はぁ……いろいろとあったしな。

 ホントに、どうしてんだろうな……。


 思い出そうとすればするほど目頭が熱くなり、日本の美しき風景が、霞んで見えてきてしまいそうになった。


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