俊光と菜子のホントの関係
第3章 番外編『オレと俊光』
「…………っ」
熱くなった目頭を、真新しい制服の袖に、ガシガシと強く擦り付けるように拭いた。
あーやめやめっ! スタートからこんなしみったれてたら、これから先もずーっとジメジメした高校生活になるぞっ!
オレは、明るくて軽い高校生活を送るって決めたんだ。
自慢じゃないが、オレはイケメンなんだ。今流行りの塩顔男子だぞ。モテるぐらいわけない。
もっとチャラくしたかったけど、髪染めると『停学』だからなー。はぁあ。岩石並みに頭がお硬い高校だよ、たくっ……。
まぁいいや。髪黒くても、いい男には変わりはねぇ。髪をツンツンに立ててバッチリセットして、無駄にモテまくってやるっ。
軽く振る舞えば、誰もオレに対して本気になろうとはしないだろうから。
それでいても、勉強は絶対手を抜かないようにしないと。
アイツが勉強を教えてくれたおかげで、下の下だったオレは、今じゃ都内の、レベルお高めな高校に入れるまでの頭になれたんだ。
大学も、就職先も、恥じないところに入ってやる。
だから……深い友達とかいらない。うわべだけの友達で上等だ。あまり友達に深入りすると、いろいろと面倒くさいし。勉強も疎かになる。
それに……過去のことには……まだあんまり触れてもらいたくねぇしな――