俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
ノーブラ疑惑の胸が、腕に容赦なく当たってくるうちに……
前に、『裸にバスタオル巻いただけの妹(菜子)の胸を、兄(俺)が真正面から両手で鷲掴んでしまった事件』を起こした時の、あの『ムニッ』とした気持ちのいい感触まで、ありありと思い出してしまい……。
理性もいよいよ全崩壊寸前。押し倒したくなる五秒前……のところで、俺は命からがら地を這いずって逃げ出すように、菜子から腕を抜き取った。
「え……どうしたの?」
またしゅんとしかかった菜子に、良心が痛む。でも、俺も限界なんだ。
「菜子、ごめん。お前はただ単にくっついていたいだけだろうけど……俺は、これ以上くっついてると……もっと手を出したくなるんだ。だから、ここでストップな」
「手を出したくなるって?」
「つまり、その……執拗に身体を触ったりしたくなるってことだよ。図書館の時よりも、帰り道の時よりも、もっと……」
「…………」
菜子が不思議そうに、無垢な目をぱちくりさせて黙った。