俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
かがんで痛む足を抑えていると、菜子もそばにしゃがみ込んだ。
「俊光くーん、なんかごめんなさーい……」
まずい。菜子が悄気てる。
「今のは俺の不注意であって、お前のせいじゃねぇよ。それに……ほら。足だって、普通に立って歩けてるから大丈夫だ。な?」
菜子に言ったとおりに動いてみせると、寂しがる子猫の如くしゅんとしていた表情が、安心したように和らいだ。俺も、その菜子を見て安堵したら、なんだか足の痛みも和らいだ。
「良かったぁー。じゃあ俊光君、こちらへどうぞー」
「は? お、おいっ、菜子っ……」
菜子はこの場を仕切り直すように俺を誘導し、再びベッドに座らせる。自分も俺の左隣にちょこんと座ると、「えへへー」と無邪気に腕まで組んできた。
ちょっと待ってくれ。ルームウェアで密着されると、むっ……胸の感触がっ……。しかも、このリアルな柔らかさ、ノーブラじゃ……。
菜子を悄気させたことよりも、もっとまずい状況に。
「菜子、くっつきすぎだってっ」
「いいじゃん、二人きりなんだからー」
二人きりだから良くないんだっつーのっ!