俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
「あっ、あったぁー。んふふー……」
「な、何だよ……」
菜子が手を後ろにして、イタズラを企んだような笑みを浮かべてくる。
何かドッキリ的なことでも仕掛けてくるんじゃ……。
軽く身構えていたら、
「じゃじゃーんっ」
「は……何それ」
無邪気な声と共に、印籠を見せるみたいに堂々と顔の前に突きつけてきたのは――手のひらサイズのシンプルなデザインをした、長方形の白い箱。
それが何かはまだわからなくて、目だけで箱を撫でるように見てみる。と――
「ーーーーっ、お、お前っ、それっ……!」
まさかの――男の性器に被せて使用する、あの避妊具だった。
菜子からの思わぬ『アレ』に、仰天を通り越して、ただただ唖然……。
「控えおろー。この『0.01』が目に入らぬかぁー」
「…………」
ここは菜子のノリに合わせて、『ははぁーっ』つって頭を深々と下げるべきなのか、俺は。
「ていうか、それ……自分で買ったのかっ?」
「まさかぁ。去年のクリスマス会でプレゼント交換をした時に、友達のエリナがふざけて買ったのが当たっちゃったんだよー」
お前って、とことん友達に恵まれてるんだな。