俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
「これを見た時は『ひゃーっ』って思ってワタワタしたけど……貰っておいて良かったね。えへへー」
「そ……そうだな……ははは」
いや、一緒に笑ってる場合か?
「というわけでー……はいっ、今からオーマイガーするよーっ。ほらほら、とっとと脱いだ脱いだぁーっ」
「うわっ……! ちょっ、菜子っ……!?」
嘘だろ。
菜子がベッドの上で、俺にのっしりと馬乗りして、スウェットを脱がしにかかってきたぞ。
しかも、菜子が股がった位置が……俺の身体の中で今一番触れてほしくない、下半身のところ。
ヤバい。コイツはマジでヤバいヤツだ。
俺は抵抗した。だが、相手が菜子だから、本気で突っぱねることも出来ない。どうすんだ、コレ。誰か、誰か助けてくれ。
「うぅーっ脱がしにくいぃっ! もうっ、大人しくしててよぉっ!」
「やめろっ、やめてくれっ! あと、頼むから腰を動かさないでくれっ!」
ギシギシとベッドを激しく軋ませながら、脱がす・脱がすまい・脱がす・脱がすまい……と、揉めに揉めていると――
バンッと別の激しい音がした。
「っ……!?」
俺と菜子は、その音でピタッと停止。
二人で恐る恐る顔を向けてみれば……
開いた部屋のドアのそばで、母さんが腰に手を当てて立っていた。
「か……母さんっ……」
「お母さん……」
確かに俺は助けを求めたが……母さんはマズいだろ。