俊光と菜子のホントの関係
第21章 『大事にしたい。なのに……』
「あっ。あとね、」
「え、なんだよ」
しようとしていたことを止められ、もどかしく感じると……
「さっきはムカついて『誰かに食べられちゃうかもしれないんだからね』って言っちゃったけど……私、他の人には絶対に食べさせたりしないから。
私が『私を食べてほしい』と思っている人は……俊光君だけだからね」
「………………」
「と……俊光、君……?」
コイツ……ホント嫌だ。
「あのさ、菜子」
「うん……」
「お前の方が、どバカで、ど天然で、ついでにど出ベソだっ」
「へぇっ!? ちょっと、何でぇっ?」
「何でもだよ、ど無自覚っ」
「えー、なんなのよもーう」
『なんなのよもーう』は、俺の方だっつーの。『いよいよこれから』って時に、とんでもない爆弾を投げつけてきやがって。おかげで、最後まで気を保てる自信がなくなったじゃねぇかよ。
それでも、『もっと触れたい』という気持ちは、もう変えられない。
もう、今がいい。
菜子が、ほしい。
「ひゃあっ……」
俺は、菜子を抱きしめたままベッドに押し倒して、再び上に覆い被さった。
「っ……俊光君……」
菜子が恥ずかしそうにモジモジしだす。
いよいよこれから何をするのかは言わずもがな、今までの俺と菜子の間で漂ったことのない、この甘い空気で伝わったようだった。
「菜子……。もし、途中でどうしても怖くなったり嫌になったりしたら……母さんがまた飛んでくるぐらいの大声を出すなり、殴る・蹴るの暴行をするなりして全力で拒否るんだ。そうでもされないと俺、止められそうにないから」
「やだ。そんなこと、絶対にしないよ。私だって、してほしいって思ってるもん。
だから…………んっ」
またモノマネしてる。
たくっ……。これ以上煽ろうとするなよ。
本当に、知らねーからな。
タコのモノマネと見まがうキス顔で俺を待つ菜子に、笑みを溢し……
唇を重ね合わせた。
―次話へ続く―