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俊光と菜子のホントの関係

第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』


 *



 お内裏様とお雛様が仲良く並んだ三月三日は――

 私の誕生日でもあったりした。

 その前に行われた学年末テストの結果は、『トホホ……』としょんぼりしたくなるほどだったの。けど、みんなからたくさん貰った嬉し楽しいお祝いで、私の心は慰められてから。おかげで今年も、幸せいっぱいお腹いっぱいな誕生日を過ごすことが出来たんだー。

 ……が、それで『めでたしめでたし。はい、おしまい!』ではないんだよね。


「うぅーん……ううぅーん……うううぅーん……」


 嬉し楽しい三月三日から三日が経った、夜ご飯前の夕方。

 私は部屋で一人、ベッドの上で横になって、うーんうーん唸っていたりする。

 でも大丈夫。お誕生日のご馳走を食べ過ぎたツケが今頃来て、お腹が痛くなっているとかじゃないんだよ。私のお腹は至って健康で、すでに早い時間から、夜ご飯が欲しい欲しいといわんばかりにグーグー鳴りっぱなしだもん。

 かといって、学年末テストのトホホな結果に、うーんうーん唸っちゃうほど、反省と後悔の大嵐に見舞われているわけでもなければ……
 俊光君と未だにオーマイガーのやり直しが出来ていなくて、うーんうーん唸っちゃうほど、ムズムズウズウズしているわけでもないの。

 じゃあ、何でこんなにも、うーんうーん唸っているのかと言うと……

 先月、俊光君が私に、


(――誕生日よりもあとになっちゃうけど……そのお祝いがてらに、ちょっとばかし遠出するってのはどうだ? もちろん、近場で行きたいところがあれば、そこでもいいけど)


 と、提案をしてくれた――私の誕生日お祝いデート。

 その行き先を、遠出にするか、近場にするか。

 究極すぎる選択で、迷いに迷いまくっているからなんだよぉー。


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