俊光と菜子のホントの関係
第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』
「うぅーどうしよぉー。全然決められないよぉー」
だってだって、どっちも捨てがたいんだもん。
近場にして、数年前と同じく俊光君と原宿へ行って、また買い物デートをしてみたい。
でも、遠出にして、人気スポットで観光デートもしてみたい……。
どっちの選択も想像をしただけで、ドキドキワクワク胸キュンキュンが止まらなくて、たまらない。
「うわぁーんっ! もうどうしたらいいのぉーっ!?」
どうしても選びきれないもどかしさから、頭をワシャワシャ掻きながらジタバタゴロゴロして暴れまくる。
「菜子うるさい! リビングにまで響いてるわよっ!」
「ひえっ。ごっ、ごめんなさぁーいっ!」
お母さんに、下の階から思いっきり怒鳴られちゃった。
しゅんとして落ち込んじゃうと、どっちにしたらいいのか、ますますわからなくなってきちゃった。
はぁーあ。こういう時、分身の術が使えたらなぁ。それで私と俊光君をもう一人ずつ増やせば、両方行けて二倍楽しめるのに……って、いけないいけない。私の考え方、現実からサヨナラしてきちゃってるよ。
いよいよ『こりゃダメだ』と感じてきた私は――
「お前、まだ迷ってたのか」
「うん……」
家に帰ってきたばかりの俊光君を捕まえて、一緒に決めることにした。