俊光と菜子のホントの関係
第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』
一度反らした目を、また右隣の俊光君にこっそり戻す。
……やっぱりカッコよく見える。
私は、どうかなぁ?
セミロングの髪は、女優の石川さとみちゃんみたいに、ゆる巻きウェーブにセット。服は、白のボアブルゾンに、初めてチャレンジしてみたベージュのニットワンピース。んで、クリーム色のリュックを背負っている。
こんな私に、俊光君も、いつもと違う風に見えていたりするのかな?
妹だけど、ちゃんと彼女にも見えていたりするのかな?
「……お前、急に大人しくなったな」
「へぇっ。そ、そうかなぁ?」
ぽーっと考え事をしていたところに顔を覗き込まれたから、恥ずかしくてボッと熱くなっちゃった。けど……
「店のあちこちから旨そうな匂いが漂ったりしてるから、腹でも減ってきたか?」
「なぁっ! ち……違わないけどっ、違うもんっ」
「ぷはっ、どっちだよ」
人のことを散々ドキドキさせておいて冷やかすなんて、どんだけぇ!? 確かに、いい匂いでお腹がぐうぐう鳴り出しちゃってるけどっ……にしてもだよぉー!
デリカシーのないこと言う俊光君に、ちょっとムカついちゃったから、
私は俊光君の左手を捕まえて、力いっぱいギュッと恋人繋ぎした。
「なっ……」
「誕生日のお祝いがてらのデートなら、プレゼントの一つとして、こうして手を繋いだまま歩いてもいいでしょ?」
駄々をこねるみたいに言うと、
「わ……わかったよ……」
「っ!」
あの俊光君が、赤くなってるー!
「そんなら、こうするのも良かったりする?」
調子に乗って、俊光君の左腕にも思いっきり抱きついてみた。
「い……いいけど……」
「ーーーーっ!」
また更に赤くなったー!
俊光君の反応に満足したら、なんだか余計にお腹空いてきちゃった!
「俊光君っ、早速あれ食べよーっ!」
「……はいはい」
俊光君の腕にしがみついたまま意気揚々と、揚げたてコロッケ屋さんに向かった。
なんだか今日は……ステキな一日になりそーっ!