俊光と菜子のホントの関係
第27章 特別編『菜子の誕生日お祝いデート(前編)』
「お前がそこまで楽しみにしてくれているのなら、俺がいつまでも眠たがっていたらいけないよな。
ちょっと遅くなったけど、お前の誕生日のお祝いも兼ねた……デートだし、な」
「っ……」
『デート』という響きに照れがありつつも、私に優しく笑いかけてくれる俊光君。
初めて来た場所だからなのか、両想いにもなって初めてのデートだからなのか、わからないけど……いつもの笑みが、いつもと違う風に見えて、胸が苦しいぐらいキュンとする。
服装だって……黒の厚手のジップパーカーに、中は白のロングTシャツとデニムのパンツという、普段どおりの俊光君スタイルなのに、特別カッコ良く見える。
お兄ちゃんだけど、ちゃんと彼氏にも見える。
ひゃーっ。これはホントにデートなんだと、今更ながら実感が沸いてきちゃったよ。
なんだか目のやり場に困ってきちゃった私は、逃げるように目を反らして、髪の先を指で巻きながらモジモジした。
「じゃあ、歩きながらいろいろ見ていくか」
「うん……」
胸のドキドキが治まらないまま俊光君と並んで、通りの中を歩き始めた。