俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
悲しみでいっぱいのまま家に帰ると、私を見たお父さんとお母さんが一瞬止まった。
「……菜子ぉ。あんた、ずいぶん思いきったわねぇー」
「見せられた方もすごくスッキリしたぞ、それ」
「うっうっうっ……。こんなに切るつもりじゃなかったんだよぉー……」
明里のせいで……予想外の髪型になっちゃったよぉー……。
女優さんみたいなセミロングにするつもりが……アゴより上のボブになっちゃったよぉー……。
あれから晃君が代わって直してくれたけど、明里がかなり切っちゃったからセミロングのしようがないって言われて、泣く泣くこの髪型に……。
確かに、晃君は上手だったよ。この髪型だって本来ならオシャレなハズだけど……
童顔の私がこんな髪型にしたら――
「可愛いじゃない。まるで小学生ねー」
ほらねっ! そうなるんだよぉー!
「お母さんっ! それ、褒めてないからっ!」
「まぁまぁ、いいじゃないか。髪はすぐに伸びるって」
「お父さーん。すぐに伸びるっつっても、少なくとも半年ぐらいはかかるんだよー……うぅ……」
これじゃあ、大学生の俊光君と釣り合わなくなっちゃう。
それにこんなに短かったら、前に俊光君からもらったヘアゴムも使えないし……。
「……え、菜子?」
ギクッ……。
後ろからまた別の声がっ……。
振り返ると、それはやっぱり――
「お前……どうした、その頭」
「っ!」
やだぁっ! 俊光君が帰って来ちゃったよぉー!
うわーん! 俊光君に見られる前にせめてどうにかしようって思ってたのに、もう見られちゃったぁー!
「それ、高校デビューのつもりか? 小学校デビューにしか見えないけど……」
「っ、ひっどーいっ! 俊光君までぇー!」
お父さんとお母さんもウケてるし!
もーうっ! 明里には一生切ってもらわないっ!