俊光と菜子のホントの関係
第4章 『私と俊光君』
「……ん? 何これ」
ベッドの下から、何か毛みたいなのが出てる。
おもむろに引っ張って取り出すと――
「ひぃ!」
きゃーっ! 首だけのマネキンが出てきたぁっ!
し、しかも……髪型がズタボロ……。
う……ウソでしょ? これって……明里・作なの?
更にベッドの下をそうっと覗くと――
同じような髪型をした、首だけマネキン達がゴロゴロ……!
「ひっ……いやぁーっ! リアルホラーッ!」
「はい、準備完了! ほら菜子、座った座ったぁー!」
怯える私なんて気にしてない感じの明里に、レジャーシートの上の椅子に力任せに座らされ、ケープを無理やり掛けられた。
こ、このままだと……私もあのマネキン達と同じ髪型にされて、ベッドの下に入れられちゃうよぉ!
私は恐怖のあまりに、ホラーの世界へと入り込んじゃっていた。
「ちょ、ちょっと待ってってばぁっ……」
「菜子がどうしたら可愛くなるか、ワタシが一番よーく知ってるんだからー。まっかせなさーい」
わーん。自信満々に胸をドンッて叩いてるしぃ。もはや聞く耳を持ってくれないよぉー。
「じゃあ……いっくわよー」
うひゃあーっ。ハサミが私の髪を挟もうとしてるぅー。
ヘタに避けたら刺さっちゃいそう……。
「おっ……お願いしまぁーす……」
とりあえず今は、大人しく切られるしかないかぁ……。失敗したら、明里のお父さんかお母さん、あるいは天性の才能を持つ晃君に直してもらお――
と考えていたところで、ドアが前触れもなくガチャッと開いた。
「ねー菜子ちゃーん! SNSとかやってるぅー?」
「えっ!?」
「なっ、晃っ! いきなり入ってこないでっ――」
ジャッキン……!
「…………へぇ?」
い、今……何かを思いっきり切ったような音が、部屋に響いた……よね?
それが何かと、すぐに理解しちゃうと――
「……あ」
明里と、
「あ」
晃君の後に、
「っ、あーーーーっ!」
私は叫び声を上げた。
か、髪が……アゴの上まで切れちゃったっ……。
しかも、かなりの髪の量が、レジャーシートの上に落ちてるし……。
「っ、あっ……明里のぉ……バカァーーーーッ!!」