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愛が、はじまるとき

第1章 1

     愛が、はじまるとき

                    双葉 如人

              1

 わたしが、満の家に泊まるのは、きょうで二回目だった。
 最初のときは、泊まるつもりはなかったが、話をしているうちに深夜になり、泊まってしまった。
 わたしが、最初に満の家に行ったのは、苦しい恋の悩みを、聞いてほしかったからだ。
 満は、わたしの姉の子ども、つまり甥の大樹がいっている塾の経営者だ。
 満の塾がイベントをしたとき、手伝いにいって、そのときの、子どもたちに接する態度が、とても優しいのをみていた。
 姉に聞くと、ふだんの勉強でも、ほんとに丁寧に優しく指導しているそうだ。
 イベントのあとの打ち上げのとき、
 「里美さんですね。
  なにか、悩んでいるんじゃないですか?」
 と、言ってくれた。
 「わかります?」
 「イベントのとき、
  はしゃぐのが、
  すこし、過剰かなと、感じたんです。
  私は、
  あなたより長く生きていますので、
  相談にのれると思いますよ」
 「そうですか。
  もしかしたら、
  ご相談するかもしれません」
 「いつでも、どうぞ」

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