
愛が、はじまるとき
第1章 1
2
そう言ってくれていたから、付き合っていた彼のことが、もう、自分でも、どうしたらいいのかわからなくなり、姉よりも、満に相談しようと思った。
ほとんど初対面なのに、悩みがあるのかと聞いてくれたのは、人間観察の眼がすぐれているからだと、思ったからだ。
「わたし、彼が、わからないんです」
「どういうところが?」
「自分勝手、すぎるんです」
「もっと、
具体的に、話せますか?」
「いちばん、そう感じるのが、
あのときなんです。
恥ずかしい…」
「里美さんが、
言いにくかったら、
言わなくてもいいですよ」
「でも…
それを言わなければ、
先生に、伝わらないと思いますので…」
「じゃあ、
言いにくいところは、ぼかしてもいいですから」
わたしは、満なら、親身になって、相談にのってくれると思っていたので、あまりぼかすことなく、詳しく話すことにした。
「わたしに、口に入れろ、と言うんです」
「えっ、
命令口調なんですか?」
「いいえ、
彼の言葉どおりに言えば、
『入れてくれないか』です」
「それでも、
命令に近いですよね」
「ええ」
「里美さんは、
嫌なんでしょう?」
「はい」
「嫌と、言わなかったんですか?」
「言いました。
できないわ、と」
「そしたら?」
「僕を好きなら、できるはずだ、って言うんです」
「彼は、
なにか、勘違いしていますね」
「勘違いですか?」
「そう。
セックスについての、
勘違い」
そう言ってくれていたから、付き合っていた彼のことが、もう、自分でも、どうしたらいいのかわからなくなり、姉よりも、満に相談しようと思った。
ほとんど初対面なのに、悩みがあるのかと聞いてくれたのは、人間観察の眼がすぐれているからだと、思ったからだ。
「わたし、彼が、わからないんです」
「どういうところが?」
「自分勝手、すぎるんです」
「もっと、
具体的に、話せますか?」
「いちばん、そう感じるのが、
あのときなんです。
恥ずかしい…」
「里美さんが、
言いにくかったら、
言わなくてもいいですよ」
「でも…
それを言わなければ、
先生に、伝わらないと思いますので…」
「じゃあ、
言いにくいところは、ぼかしてもいいですから」
わたしは、満なら、親身になって、相談にのってくれると思っていたので、あまりぼかすことなく、詳しく話すことにした。
「わたしに、口に入れろ、と言うんです」
「えっ、
命令口調なんですか?」
「いいえ、
彼の言葉どおりに言えば、
『入れてくれないか』です」
「それでも、
命令に近いですよね」
「ええ」
「里美さんは、
嫌なんでしょう?」
「はい」
「嫌と、言わなかったんですか?」
「言いました。
できないわ、と」
「そしたら?」
「僕を好きなら、できるはずだ、って言うんです」
「彼は、
なにか、勘違いしていますね」
「勘違いですか?」
「そう。
セックスについての、
勘違い」
